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高専トピックス

アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)は、全国の国立・公立・私立の高専57校62キャンパス、計124チームが、ロボット製作から競技を通じてアイデア対決をするコンテストです。
1988年から毎年開催され、今年で31回目の開催となります。毎年変わる競技テーマに対し、各高専が様々なロボットを製作します。競技の勝敗だけでなく、製作したロボットのデザインや技術的完成度等も評価基準となるため、ロボットへ組み込むアイデアも製作における重要なポイントとなります。

今年は、「Bottle-Flip Cafe(ボトルフリップ・カフェ)」と題して、「ロボットの自律化・自動化」の課題と、「ボトルフリップ」という競技に挑みました。(ボトルフリップとは:水の入ったペットボトルを投げ、着地させるゲームのこと。)
自動運転の登場等、自律化・自動化の技術が進歩している中、高専生にも独自の発想でビジネスの最前線でも取り入れられている自動制御技術が搭載されたロボット製作への挑戦が期待されます。
2018年11月25日(日)に両国国技館で開催された全国大会には25チームが選抜されました。その中でも、表彰された7チームを中心に、独自の発想と高い技術で競い合った彼らの活躍をお伝えします。
(掲載開始日:2018年12月7日)

Bottle-Flip Cafeのルール


「Bottle-Flip Cafe」競技フィールド

ロボットがテーブルに向かって「ボトルフリップ」に挑戦し、より多くボトルを立たせたチームが勝利となります。
フィールドには固定テーブル3台、相手チームが動かせる移動テーブル3台、そして高さの異なる2段テーブルが設置されています。ボトルを2段テーブルの上段に立てることが出来れば5点、他テーブルへの場合は1点を獲得出来ます。
コントローラで制御出来る手動ロボットと、ボタンひとつで動作する自動ロボットの合計2台と、20本のボトルを使用します。
ロボットは手動と自動とで移動出来るエリアが分かれており、高得点が獲得出来る2段テーブルは自動ロボットでなければ近づけない位置にあります。
また、準決勝からはいち早く全てのテーブルにボトルを立たせた方が勝利となる「Vゴールルール」が適用されます。勝負の条件が変わるため、ロボットの制御を得点モードとVゴールモードで分けているチームも多く、作戦の変化も注目されました。

ロボコン大賞:国立 熊本高等専門学校(八代キャンパス)[熊本県]


2段テーブルの上段に10本のボトルを立たせる熊本高専(八代キャンパス)の自動ロボット

・ロボット名:barista
・九州沖縄地区大会結果:地区大会推薦枠
栄誉あるロボコン大賞に輝いたのは、熊本高専八代キャンパス。1回戦は60点、2回戦は55点、準々決勝でも55点と、全国大会の平均17点と比べ、圧倒的な得点力で会場を沸かせました。
他チームの多くはスタートと同時に素早く目的のテーブルに向かって稼動をはじめますが、熊本高専のロボットはまずその場で手動ロボットと自動ロボットの合体作業が始まります。合体によって高さを稼いだロボットは、最も高得点を得られる2段テーブルの前へ。そしてじわじわと移動、最上段へとアームを伸ばし、左右から合計10本のボトルを一気に立てるという作戦で大量得点を可能としました。Vゴールルールが適用された準決勝では、新たなルールへの対策に苦戦し残念ながら敗退となりましたが、他チームとは全く異なるアプローチで会場や中継を通して観戦する観客に迫力ある試合を見せてくれました。

優勝:国立 一関工業高等専門学校 [岩手県]


イッカククジラを模した一関高専の自動ロボット

・ロボット名:一角
・東北地区大会結果:地区大会優勝
優勝した一関高専は、イッカククジラと一角獣を模したデザインのロボットで登場。
このロボットの最大の特徴は、正確な射出を可能とする機構。幾度も実験を繰り返し、ロボット自体を適切な位置に素早く移動させ、射出角を0.1度単位で自由に調整出来る精密さを実現しました。
1回戦では整備不良によりギリギリとも言える勝利でしたが、調整を終えた2回戦以降は30点を超えるハイスコアで相手を制し、勝ち進んでいきました。また、Vゴールルールが取り入れられた準決勝からは更にその正確性という強みが発揮され、いち早く全てのテーブルにボトルを立てていき、決勝戦では30秒でVゴールを達成、勝利を収めました。
まとめて射出することで大量得点を狙うチームも多い中、1本1本着実に立たせていく姿勢を貫いたことが、優勝に繋がりました。

準優勝:国立 函館工業高等専門学校 [北海道]


キリンの首に模した長い射出構が特徴の函館高専の自動ロボット

・ロボット名:Café Rivage
・北海道地区大会結果:地区大会優勝
惜しくも1歩及ばず決勝で敗れた函館高専。自動ロボットはキリン、手動ロボットはゾウのデザインとなっています。
自動ロボットは射出構の長いストロークと、16台の滑車、そしてエアシリンダーにより、勢いと安定感を兼ね備えたボトルの射出を実現。手動ロボットも、ゾウの鼻を模したレールをテーブルのすぐ近くにまで伸ばし、その上でボトルを滑らせる様に運ぶことで、確実にボトルを立てていきました。
また、ロボット以外でも重要なのが実はボトルの中身。流動性のあるものであれば中身は自由というルールの下、各チームはボトルにも様々な工夫を凝らしています。函館高専を含めて、多くを占めたのが吸水ポリマービーズを利用するチーム。着地時の衝撃を吸収させることで、鋭く勢いある射出でもボトルを倒すことなく点数を稼ぐことを可能にしていました。

デザイン賞:国立 和歌山工業高等専門学校 [和歌山県]


合体して巨大ロボットへと姿を変える和歌山高専の江楠マキナさん

・ロボット名:江楠マキナさん(エクスマキナサン)
・近畿地区大会結果:地区大会推薦枠
デザイン賞を受賞したのは和歌山高専。2つのロボットが合体し全長2m30cmの大型メイドロボットに変形するという、インパクトあるデザインが目を引きます。メイド服の装飾や、地区大会から全国大会に向けて顔を一段と可愛くする等、細部までのこだわりが伺えました。
また、見た目だけでなく、安定して大量の点を獲得出来る機能を兼ね備えているのもこのロボットの特徴です。両手に装着されたトレイをテーブルの高さに合わせつつ、滑らせる様に次々とボトルをテーブルに乗せていきます。最後に背中に取り付けられたランチャーから2段テーブルに向けてボトルを発射するという機構も強く印象に残りましたが、ここでの着地精度は他チームに一歩及ばず、残念ながら2回戦敗退となりました。

アイデア賞:国立 広島商船高等専門学校 [広島県]


ボトルをタイヤ代わりにし、テーブルギリギリまで近寄る広島商船の手動ロボット

・ロボット名:紫電☆一閃
・中国地区大会結果:地区大会優勝
アイデア賞に選ばれたのは広島商船高専。蟹の装飾を施したユニークな見た目と、ルールにとらわれないアイデアにより会場を楽しませました。
そのアイデアとは、手動ロボットのタイヤ部分を、ボトルで作るというもの。本来手動ロボットは所定のエリア内でしか動けません。しかし広島商船高専は、「必ずしも機体が地面に付いている必要はない」というルールの下に、地面に落ちたボトルの上に乗っているという名目で、手動ロボットを自動ロボットのエリア内にも進入可能にしたのです。
また、手動ロボット・自動ロボット共に、動作の素早さにも特徴がありました。この動作を実現するのは、LRF(レーザーレンジファインダー:光距離センサ)を活用した自動制御技術。1回戦、2回戦と手動ロボット・自動ロボット共に非常に迅速かつ正確にテーブルの上へボトルを立たせて高得点で勝ち上がっていく姿が印象的でしたが、制御不良により惜しくも準々決勝にて敗れました。
ボトルを、主旨とはまた異なる使い方で利用するアイデアが高く評価されての受賞となりました。

技術賞:国立 佐世保工業高等専門学校 [長崎県]


ボトルを華麗にフリップさせる佐世保高専の自動ロボット

・ロボット名:火種
・九州沖縄地区大会結果:地区大会推薦枠
佐世保高専は、蜂をモチーフとした可愛らしい手動・自動ロボットで2回戦から登場しました。
試合では、特にスピーディな動作を見せる自動ロボットが大活躍。2段テーブルへのフリップで一気に高得点獲得を目指すのみならず、他チームは避けがちな難易度の高い移動テーブルへもボトルを正確に立たせていきました。
佐世保高専の技術で注目すべきは、自動ロボットのボトル射出機能。3つのローラーの制御により打ち出されるボトルは、空中で見事に1回転半の宙返りをした後に着地します。
安定性を求めてボトルの宙返りを避けるチームも多い中、ボトルを華麗に着地させる機構は大変優れた技術力があると評価され、技術賞を受賞しました。

アイデア倒れ賞:国立 都城工業高等専門学校 [宮崎県]


トランポリンに向けボトルを射出する都城高専の手動ロボット

・ロボット名:曲鯨師!ホエールくん!
・九州沖縄地区大会結果:地区大会推薦枠
その真価は発揮出来なかったものの、アイデアは優れているチームに贈られる「アイデア倒れ賞」を受賞したのは都城高専。
このロボットは他チームとは異なり、テーブルに目掛けてではなく、自動ロボットに向けてボトルを射出します。実はこの自動ロボットには赤外線センサーが取り付けられています。このセンサーで跳んできたボトルを検出し、取り付けられたトランポリンでタイミングよく跳ね返し、得点を狙うのです。
「おもしろい・派手・無茶」をモットーに、斬新な仕組みで勝負に挑んだ都城高専。同チームの試合中は、会場全体がひとつになってボトルフリップの成功を祈り、応援する声援が印象的でした。結果的に本大会では1度もボトルを立てることが出来ませんでしたが、諦めずに最後まで挑戦し、会場を大いに盛り上げてくれました。

あとがき

今年の高専ロボコンは、新たな課題として「ロボットの自律化・自動化」が取り入れられましたが、これにより、「史上最も難しい」との声が審査員の方々をはじめ大会中何度も聞かれました。しかし高専生たちは、困難な課題に対しても、センサーを用いて安定性を高めたボトル射出や機械学習による移動経路の自動生成等、高度で多様な技術力に磨きをかけて挑みました。技術力と共にルールにとらわれない斬新で豊かなアイデアでも会場を大いに沸かせた今回の大会。
高専では、実社会を舞台に活躍出来る「ものづくり」への情熱をたぎらせる人材が育まれていることが感じられる大会でした。

※2018年12月24日(月・休)の午前10:05~10:59にNHK総合にてTV放映された全国大会での高専生の活躍は、下記サイトよりご覧いただけます。
NHK-高専ロボコン:第31回全国大会