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高専トピックス

全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(以下、DCON)は、高専生が日頃培った「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用したビジネスプランの「事業性」を、ベンチャーキャピタリスト(VC)が企業評価額として算出し、競います。

近年、DCONは回を重ねるごとに規模を拡大し、社会的な注目度も飛躍的に高まっています。本大会に参加する高専生たちにとっての最大の魅力は、自分たちが暮らす地域の身近な課題や、現場の人々が抱える切実な悩みに直接耳を傾け、そこから独自の解決策を導き出している点にあります。机上の空論ではなく、自らの足で現場に赴き、泥臭く手を動かして作り上げたハードウェアと最新のAI技術を掛け合わせることで、社会に役立つプロダクトを本気で実現しようとしています。

今年度は、過去最多となる91チーム42高専119作品がエントリーしました。その中から一次審査・二次審査を勝ち抜いた10チームが本選へ出場しました。2026年5月8日(金)・9日(土)に開催された第7回大会における、高い技術力と行動力で競い合った高専生たちの熱き戦いの様子を、上位入賞チームを中心にお伝えします。
(掲載開始日:2026年5月18日)

コンテストの概要

本コンテストの審査は 一次審査(書類選考)→ 二次審査(プロトタイプ制作・面談選考)→ 本選(技術・プレゼンテーション審査)の3段階で実施します。

【一次審査】
複数の審査員が下表の 3 視点・計 11 項目を 0・1・3点 で採点評価し、プロトタイプ制作に進むことができる作品であると判断されたチームが二次審査へ進出します。


審査視点

主なチェック項目(0・1・3点で採点評価)
A. 事業コンセプト
1. 課題の明確性と具体性
2. 課題の社会的意義・インパクト
3. 解決策の具体性と価値
4. 事業性
5. 競合優位性
B. ものづくり
6. ディープラーニングの活用の妥当性と意義
7. データ収集・活用の具体性
8. モデルと実装計画の妥当性
C. ハードウェア9. ハードウェアの役割と設計
10. ハードウェアの必然性と独創性
11. ハードウェアの実装計画の妥当性

【二次審査】
制作したプロトタイプの評価及び面談審査を経て、二次審査を通過したチームは本選へ出場することができます。
通過チームには、面談審査を担当した起業家がメンターとして伴走し、本選に向けたプレゼン資料作成を全面サポートします。

【本選】
技術審査及びプレゼンテーション審査が行われます。
※技術審査はプレゼンテーション審査の前日に行われます。

<技術審査>
●技術審査員3名に対し、実機を用いたデモンストレーションを行い、作品の技術的特徴を紹介します。
●各審査員は説明を踏まえ、技術の「新規性」と「信頼性」を評価します。

<プレゼンテーション審査>
●5分間のプレゼンテーションと、審査員である現役VCとの質疑応答を行います。
●事前の技術審査結果、ビジネスプランのプレゼン内容、質疑応答を総合してVCが投資するか否か判断します。審査員の内、1人でも「投資する」と判断した場合、企業評価額の審査に進むことができます。
●事業性の評価方法
現在のチームが「会社」だと想定した場合の企業評価額を、実際のベンチャー企業を評価する基準に基づいて具体的な金額で算出し、その金額により順位が決まります。
※「投資する」と判断したVCの中で最も高い評価をした審査員が決定した金額が企業評価額となります。
※同じ企業評価額の場合、「投資する」と判断したVCの数が多いチームが上位となります。それでも同数の場合は企業評価額の合計で決定します。
※企業評価額の判断材料は、売上や利益の見込み、事業の意義、市場規模、経営者の意欲や資質、従業員の能力などです。
●表彰について
・1位に選ばれたチームには起業資金として100万円が授与されます。
・2位と3位のチームにはそれぞれ起業資金として50万円と30万円が授与されます。
・その他、経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、農林水産大臣賞などの大臣賞や、各パートナー企業からの企業賞が用意されています。

本選に出場したチーム一覧(学校名・チーム名・作品名・概要・企業評価額・メンター・受賞)
※企業評価額が高い順に記載
学校名・チーム名 作品名 概要 企業評価額 メンター 受賞
豊田工業高等専門学校
Kanro AI
Pipe Eye AI画像認識搭載の自律点検下水道ロボット
5億6000万円 渋谷 修太 氏(フラー株式会社 取締役会長) 最優秀賞
フソウ賞
沖縄工業高等専門学校
Rewave
通信の空白地帯を消す!AIで被災地を可視化する災害デバイス「アドフォン」
基地局不要で安否を共有するAI防災通信デバイス
4億円福野 泰介 氏(株式会社jig.jp 取締役 創業者)
経済産業大臣賞
セブン銀行賞
沖縄工業高等専門学校
Seesar Labs
HIKES 四足歩行ロボで初期消火を自動化するシステム
3億円 河瀬 航大 氏(株式会社フォトシンス 代表取締役社長) トピー工業賞
アイング賞
千代田化工建設賞
ビズリーチ賞
神山まるごと高等専門学校
codell
KiDUKi ARグラスで介護情報を可視化するAIシステム
2億4000万円 折茂 美保 氏(ボストン コンサルティング グループ合同会社 マネージング・ディレクター&パートナー)
文部科学大臣賞
トヨタ自動車賞
沼津工業高等専門学校
SOUTA
Gourmeet
飲食店向けAI空席判別・経営支援システム
3000万円 西本 励照 氏(株式会社MENOU 代表取締役CEO)
NECソリューションイノベータ賞
三菱電機エンジニアリング賞
舞鶴工業高等専門学校
mAIzuru
ことの葉 AIが植物の声を届ける、対話型育成支援ツール
2700万円 佐藤 聡 氏(connectome.design株式会社 代表取締役社長)
農林水産大臣賞
アクセスネット賞
ポーラメディカル賞
ソフトバンク賞
ミダスキャピタル賞
仙台高等専門学校 広瀬キャンパス
それいけ!運搬マン
Nego Delivery AIとロボットで配送を自動化する物流システム
1500万円 田中 邦裕 氏(さくらインターネット株式会社 代表取締役社長)Quick賞
久留米工業高等専門学校
Atelier-I
あゆみ AI搭載で危険を検知するシルバーカー
1000万円 小島 舞子 氏(株式会社クラフター 代表取締役)
日本電技賞
沖縄工業高等専門学校
Omoide.lab
VocaSense ~声の揺らぎが知らせる認知症のサイン~ 会話から認知症を早期判定するAIデバイス
投資判断なし 柳原 尚史 氏(株式会社Ridge-i 代表取締役社長)
NGK賞
村田製作所賞
釧路工業高等専門学校
超音サンマ
Pulsar AIを用いた農家負担軽減システム
投資判断なし 岩佐 琢磨 氏(株式会社Shiftall 代表取締役CEO)

第1位:豊田工業高等専門学校/Kanro AI    [愛知県]


左側の青と黒の円筒形の筐体が、下水道管内を走行するロボット本体。

プレゼンする豊田高専「Kanro AI」。検査映像を巨大スクリーンに映し出し、学生が「Pipe Eye」ロボットのプロトタイプを手に説明している。

作品名:Pipe Eye
企業評価額:5億6000万円

豊田工業高等専門学校のチーム「kanro AI」は、元々ロボコンに出場していたチームです。そんな彼らが今回開発したのが、下水道自動点検AIロボット「Pipe Eye」です。

日本の下水道管は、総延長が地球12周分に相当する約50万キロに及びますが、その9割は、人が立ち入れない小口径の管です。現在、老朽化した管の割合は7%に留まっているものの、20年後には41%、30年後には70%へと急増する見通しです。
一方で、点検現場では小型ロボットの手動操作や手作業による報告書作成が主流であり、作業効率の低さが課題となっています。さらに、熟練技術者の半数以上が50代を超えて高齢化しており、旧態依然とした点検態勢は、もはや限界を迎えています。

この課題を解決する「Pipe Eye」は、3つの画期的な強みを持ちます。1つ目はLiDARセンサ(※1)による完全自動走行です。ロボットが管内での現在地を正確に把握し、中心を維持しながら自律走行するため、地上からの手動操縦が不要になりました。これにより、点検に伴う道路占有や交通規制等の制約を大幅に削減します。2つ目は、AIによるリアルタイムの異常検知です。Jetson(※2)とYOLO(※3)を搭載することで、走行しながらひび割れや侵食を瞬時に判別します。通常時はスピーディーに移動し、異常を検知した箇所では自動で減速して精密な映像を記録します。これにより、点検スピードの向上と、見落としのない正確な調査を両立しました。3つ目はデータの一括デジタル管理と報告書の自動作成機能です。AIの判定結果を確認してワンクリックするだけで、報告書が完成します。データは地図情報と同期して蓄積されるため、事務作業の負担を低減させるだけでなく、将来の劣化予測にも貢献します。

本プロジェクトのターゲットは地方自治体や維持管理業者であり、導入によって点検量の増加、点検作業の省人化が進むことで、コストを80%削減できる見込みです。下水道点検は作業距離に応じた定額報酬制であるため、この削減分は売上高の向上に直結します。2027年度からのウォーターPPP(※4)という追い風も捉え、すでに業界最大手のメタウォーターとも協議を進めています。

市場規模は、豊田市の点検業務であるSOMが3億円、愛知や大阪など主要都市のSAMが1500億円、国内の下水道関係予算全体であるTAMは3.9兆円にものぼります。
今後は1年以内にプロダクトを完成させ、3年でエリアを拡大、4年目には劣化予測AIへと進化させる計画です。

唯一このチームだけが審査員全員から「投資したい」という評価を獲得しました。誰もが目を背けがちな嫌悪設備である泥臭い「下水道」に真っ向から挑んだ着眼点や、全体の90%を占める小口径管にフォーカスした市場理解の深さが絶賛されました。ソフトウェアだけでなくハードウェア実装にも挑む技術力と、現場のプロと対話を重ねて磨かれたビジネスモデルの完成度がとても高く評価されました。

※1 LiDARセンサ:レーザー光で対象物との距離や形状を測る3Dセンサ。自動運転やドローンの「目」として、周囲の空間を高精度に把握するために不可欠なデバイス。
※2 Jetson:NVIDIA製のAI向け小型コンピュータ。省電力ながら強力なGPUを積み、ロボットや産業機器などの「現場(エッジ)」でリアルタイムなAI処理を実現する。
※3 YOLO:画像内の物体を瞬時に特定する高速なAIアルゴリズム。一度の走査で検出と分類を同時に行うため、防犯カメラや自動走行などのリアルタイム解析に長けている。
※4 ウォーターPPP(Public-Private Partnership):公共と民間が連携して水道事業を運営する仕組み。民間のノウハウや資金を活用することで、インフラの老朽化対策と効率的な事業運営を両立させる。

第2位:沖縄工業高等専門学校/Rewave    [沖縄県]


開発した災害用通信デバイス「アドフォン」の実機と、連携する専用アプリの画面。

過去のコンテストでも数々の賞を受賞してきた沖縄高専チーム「Rewave」。DCONのステージでも「必ず社会実装します!!」と宣言し、学生の枠組みを超えた強い熱意をアピールした。

作品名:通信の空白地帯を消す!AIで被災地を可視化する災害デバイス「アドフォン」
企業評価額:4億円

沖縄高専チーム「Rewave」が開発した災害用通信デバイス「アドフォン」は、通信の空白地帯を解消し、AIによって被災地の状況を可視化します。内閣府の防災白書などの教訓から、発災から72時間以降は救助数が激減するため、人命救助には初動が極めて重要です。しかし、大規模災害時は基地局の損壊で通信が途絶し、致命的な情報不足が障壁となります。
この課題を解決するため、電波が届かない環境下でも、LPWA(※1)を用いてデバイス同士がバケツリレー方式で接続を維持するアドホックネットワークを実装しました。

本システムは、専用端末「NuchiLink」をスマートフォンとBluetoothで接続するだけで、通信インフラが途絶した環境下でも情報伝達を可能にする画期的なプラットフォームです。通信性能は最大約3km、市街地などの障害物がある条件下でも約1kmの通信距離を確保しており、公開鍵暗号方式の採用によって高度なセキュリティも両立させています。ユーザーインターフェースには独自開発の専用アプリを用い、オフライン時でも機能する「チャット機能」・「マップ機能」・「カメラ機能」の三要素を主軸として構成されています。

「チャット機能」は、直感的な操作が可能なUIを備え、緊急時における迅速なメッセージ交換や安否確認を支援します。
「マップ機能」は、事前に地図データを保存することでオフラインでの現在地把握を実現するだけでなく、他ユーザーから投稿された被災情報をリアルタイムで確認できます。さらに、投稿された情報の信頼性を担保するため、LLM(※2)を応用した独自のアルゴリズムが各情報の信頼度スコアを算出し、情報の真偽を判断するための客観的な指標を提供します。
「カメラ機能」は、被災状況の投稿をサポートする機能です。この機能には、画像などの大容量の元データをマルチモーダルAI(※3)が即座に解釈し、意味を持つテキストデータへと変換することで、データ量を1/1000まで圧縮して送信する仕組みが備わっています。この圧縮プロセスにより、建物の崩壊レベルや被災者の属性などの重要な情報を、帯域の限られた環境下でも確実に伝達することが可能となりました。この技術は、画像送信に10分以上を要するというLPWA通信の課題を克服するだけでなく、防災科研へのヒアリングから得られた「現場で真に求められるのは画像そのものではなく、何が起きているかという『意味情報』である」という知見を具現化したものです。
これらの独自技術を統合した本システムは、現在特許出願済みとなっています。

ビジネス展開は、自治体を対象に地域の拠点となる小中学校への配備を計画しています。市街地の各校に10台ずつ設置するだけでメッシュネットワークを構築できます。スマートフォンの既存パーツを活用して原価を12,000円に抑え、1台40,000円の安価な販売価格を実現しました。沖縄気象台からのアドバイスを受けて、児童養護施設で実証実験を行い、6歳の子どもでも直感的に操作できることを確認しました。さらに、子どもも使えるデバイスとして小中学校や自治体への配備を本格的に進めるため、総務省沖縄総合通信局や沖縄県庁と直接意見交換を行うなど、社会実装に向けて行動力を発揮しています。
今後の展望として、名護市への導入を皮切りに、南海トラフ地震の被害予測地域へ展開して約60億円の売上を見込み、世界市場への進出も視野に入れています。

審査員からは、防災という国家的課題に挑む姿勢や、国防の観点から通信インフラを自国で担保する意義が高く評価されました。技術的な課題や導入における実効性については議論の余地を残しつつも優れた事業案として称賛が送られ、最終審査で企業評価額4億円と算出されて第2位を受賞しました。

※1 LPWA(Low Power Wide Area):低電力で長距離の通信を可能にする技術
※2 LLM:大量のテキストデータを学習し、人間のように言語を理解・生成する大規模言語モデル
※3 マルチモーダルAI:画像や音声など複数のデータを処理できるAI技術

第3位:沖縄工業高等専門学校/Seesar Labs    [沖縄県]


炎・煙を検知するHIKES Eye。

HIKES Roboが、火に見立てたーゲットを消火する様子。

作品名:HIKES
企業評価額:3億円

第3位に選出されたのは、沖縄工業高等専門学校の「Seeser Lab」です。本チームは、火災の検知から初期消火(※1)までをシームレスに完結させる次世代型消防プラットフォーム「HIKES」を開発しました。

国内の工場や倉庫では年間約2,600件もの火災が発生しており、出火からわずか2分で人力による対応が困難になることから、初期消火の自動化は喫緊の課題となっています。「HIKES」はこの限界を打破するため、監視を担う「HIKES Eye」と消火を担う「HIKES Robo」の2ユニットで構成されています。まず「HIKES Eye」がIRセンサ(※2)で24時間の温度監視を行い、画像認識アルゴリズムのYOLOを用いて炎や煙を検出、同時に距離センサで火元までの距離を測定します。さらに、誤検知を防ぎ精度を補完するためにXGBoost(※3)による再判定を行うことで、統合モデルの正解率80%を実現しました。検知された火災情報はMQTT通信(※4)を介して四足歩行ロボット「HIKES Robo」へ即座に伝達され、検知からロボットの起動までわずか約5秒という驚異的なレスポンスを誇ります。このロボットは、自律走行で障害物を回避しながら火元へ接近し、ピンポイントで消火活動を行います。

ターゲットとする施設は、商品の水濡れ損害を避けるためにスプリンクラーを導入していない国内の工場や倉庫です。すでに西濃運輸株式会社や株式会社関電工といった大手企業での実証実験も進んでおり、ビジネスモデルには導入のハードルを下げるサブスクリプション方式を採用しました。「HIKES Eye」2台と「HIKES Robo」1台の基本セットで、初期費用21万円、月額9万円という、施設の規模に応じ柔軟に拡張可能なプランを提示しています。

市場規模は、国内の工場・倉庫向けのSOMで約374億円、国内施設全体のSAMで約1,700億円、そして世界のTAMでは約13兆円にものぼります。Seeser Labは今後、経済的損失の大きい施設から順次シェアを拡大し、5年目には年商92億円、営業利益18億円を目指す計画です。

審査員からは、首里城の全焼という強烈な不測の原体験を確かなソリューションへと昇華させた着眼点に加え、ターゲットを明確に絞り込み、すでに業界大手との対話を進めている戦略性が高く評価されました。アイデア、技術、市場選定のすべてにおいて完成度が高く、極めてバランスの取れたチームであるとの賛辞が贈られました。

※1 初期消火:火災発生直後、火が天井に燃え移る前に行う消火活動。出火後の「魔の2分」が勝負であり、この時間を過ぎると火勢が急拡大して個人での消火が不可能になるため、避難か消火かを判断する極めて重要な初動対応。
※2 IRセンサ:赤外線を利用して対象物の熱や動きを検知するセンサ。非接触での温度測定や動体検知が可能で、防犯カメラや自動ドア、家電のリモコンなどに広く使われています。
※3 XGBoost:複数の決定木を組み合わせる機械学習手法。画像や音声に強いディープラーニングに対し、特徴量が整理された数値データの判定では、精度・速度ともに極めて高い性能を誇る。データ分析のコンペティションなどで定番の手法。
※4 MQTT通信:IoTデバイス向けに開発された、軽量な通信プロトコル。通信負荷や電力消費が非常に低いため、電波の不安定な場所や小型センサーでのデータ送受信に適している。

おわりに

現代の日本において、デジタルトランスフォーメーションやAIの活用は社内の業務効率化を目指す部分最適にとどまる傾向があり、新しい価値を創出するビジネスモデルの変革には至っていません。
また、生成AIなどの技術進歩が急速に進む一方で、多くの企業では導入や利活用が遅れており、国際的な開発競争においても後塵を拝しています。
この背景には、AIに関する深い知見を持ち、課題設定から導入、効果検証までを一気通貫で推進できるビジネスアーキテクトなどの専門人材が、量と質の両面で圧倒的に不足しているという深刻な問題があります。

こうした停滞を打ち破るために求められているのが、高専DCONに参加するような高専生たちの力です。彼らは、最新の技術をただ表層的になぞるのではなく、仕組みや限界、さらには倫理的な側面にまで踏み込んで深く理解し、実務レベルで設計や運用に活かす洞察力を備えています。
福祉や農業、水産業といった現実社会のリアルな産業が抱える課題に対し、日頃培った確かなものづくりの技術とAIを融合させ、具体的な解決策を提示しています。
さらに、単なるプロトタイプの制作にとどまらず、市場規模やコスト、ビジネスとしての持続可能性までを緻密に計算し、社会実装を見据えた構想力と実行力を持つ実装可能なエンジニアとして力量を発揮しています。

近年は各高専で起業家精神を育むアントレプレナーシップ教育も推進されており、DCONを契機として自ら会社を立ち上げ、ニュービジネスを創出する学生が増加しています。
AIを自ら開発して使いこなし、社会の具体的な課題を解決していく高専生たちの革新的な取り組みは、日本発のディープテックやソーシャルテックの新たな潮流を生み出します。
不足する専門人材という枠組みを超えて社会に変革をもたらす高専生たちの挑戦は、日本の産業をアップデートし、再びハイテク分野で世界市場をリードするための力強い原動力となることが期待される大変有意義な大会でした。

※本コンテストでの高専生の活躍は、日本ディープラーニング協会のYoutubeチャンネルにてご覧頂けます。
第7回DCON2026本選(ライブ動画配信)

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※この記事の所属・役職・学年等は取材当時のものです。