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高専トピックス

全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(以下、DCON)は、高専生たちが日頃培ったモノづくりの技術とディープラーニングを組み合わせたビジネスプランを発表し、各チームを企業だと想定した場合の企業評価額によって競うコンテストです。
全国の高専から36チームが参加し、その中から勝ち抜いた10チームと、モンゴルからの招待チームを加えた計11チームが本選に出場しました。
今回は、2020年8月22日(土)にオンライン開催された第1回大会本選のレポートと共に、大会を主催する一般社団法人 日本ディープラーニング協会(JDLA)の理事 兼 事務局長である岡田 隆太朗氏へのインタビューをお届けします。
(掲載開始日:2020年10月26日)

コンテストのルール

【予選】
書類による1次審査、試作品のデモンストレーションによる2次審査により、本選出場チームが決定します。
選考は、事業経験豊富な現役の起業家によって行われます。
2次審査を通過したチームには、この起業家陣のいずれかがメンターとなり、本選での最終審査に向けて、共にプレゼンテーション資料の作成や準備を行います。

【本選】
●5分間のプレゼンテーションを行い、その後、審査員である現役ベンチャーキャピタリストとの質疑応答を3分間行います。
※質問に答えられない場合は、各チームのメンターへ1回のみ回答を委ねることが出来ます。

●プレゼンテーションと質疑応答の結果を基に、その事業に投資したいかを審査員からジャッジされます。1人でも投資するとのジャッジが出た場合、企業評価額の審査に進むことが出来ます。

●ビジネスプランの評価方法
・チームが企業だと想定した場合のバリュエーションを、実際のベンチャー企業を評価する際と同じ基準によって、具体的な金額で算出し、その金額により順位が決まります。
※同率の場合、投資金額の大きい方が上位となります。
※バリュエーションの判断材料は、売上や利益の見込み・事業の意義・市場の大きさ・経営者の想いや資質・従業員の能力となります。

●優勝チームへの賞金
・最優秀賞に選ばれたチームには起業資金として100万円が授与されます。

本選を見て

本選に出場したチーム一覧(チーム名・作品名・概要・評価)

学校名・チーム名 作品名 概要 企業評価額 投資総額
東京工業高等専門学校
プロコンゼミ点字研究会
:::doc(てんどっく)-自動点字相互翻訳システム- 視聴覚障害者が自身で使用出来る、墨字⇔点字の翻訳・出力システム 5億円 1億円
鳥羽商船高等専門学校
NIT TOBA, SiraisiLAB
Deep Learningを用いた高品質カンキツ育成支援システム 水分ストレス測定とスプリンクラーを組み合わせ
高糖度ミカンの生産をサポートするシステム
5億円 7000万円
佐世保工業高等専門学校
佐世保高専魚市場チーム
ディープラーニングを用いた高速魚種選別システム 魚市場等で行われている魚種選別作業を自動化するシステム 5億円 5000万円
長岡工業高等専門学校
長岡高専 視覚情報処理研究室
カリスモ 道路を走行する車両を検出してアラートを聴くことで事故を抑制するモバイル端末 3億円 3000万円
沖縄工業高等専門学校
Fish learning 2.0
ディープラーニングを用いた美ら海の環境保護プロジェクト AI搭載の海中ドローンで魚とサンゴを検出し環境情報と共に記録
海中生物のモニタリングと環境保護に役立てる
1億5000万円 1500万円
鳥羽商船高等専門学校
ezaki-lab
RouteMap 観光客向けに三重県鳥羽市を対象とした
海鮮を楽しむオーダーメイドプランを提供するアプリサービス
1億円 3000万円
モンゴル3高専連合
モコ
IoTセンサーとディープラーニングによる山火事の早期発見とその拡大予測 IoTセンサーを使った火事検知と、ディープラーニングを使った
火事の拡大範囲・ルート予測システム
5000万円 1000万円
香川高等専門学校 詫間キャンパス
Mitoyo Robotics
草刈りロボット カメラやセンサーのデータをもとに、自動走行で草刈りを行う人工知能搭載ロボット 5000万円 500万円
長岡工業高等専門学校
長岡高専プレラボチーム
イルカ(いるか?) 音とセンサーを使って部屋に人が居るかを検知するシステム 5000万円 500万円
阿南工業高等専門学校
岡本Lab
ナメクジ忌避システム 撮影画像からナメクジを検出し、
赤外線照射で農作物に近づいてくるナメクジを忌避させるシステム
投資判断なし 投資判断なし
北九州工業高等専門学校
久池井研デジものチーム
物流倉庫の自動化と作業負担軽減を実現する
ディープラーニングを活用した次世代物流AGVシステム
物流現場の作業量の負担を目的とした人と協調するAGV(無人搬送車)システム 投資判断なし 投資判断なし

どのチームも、最新のAI技術であるディープラーニングを用いて、各チームは社会課題解決に貢献する様、創意工夫していました。
特に画像、動画認識を中心としたディープラーニングを取り入れているチームが多く見受けられましたが、マイクロ波を用いた認識等、まだ実事業へあまり普及していない技術を取り入れているチームもありました。
こういった最新技術を用いて作品づくりを行う高専生の技術力には、目を見張るものがあります。

また、事業を開始してから軌道に乗るまでのビジネスモデルも具体的に提示されており、すぐにでも起業出来そうだと思える作品ばかりでした。

これら技術力と事業性の両方を持ち併せた作品群に対して、審査員であるベンチャーキャピタリストの方々からは、実際に投資先を検討する際と同様の質問が投げかけられます。例えば、数年間で幾ら程度の売上推移を想定しているのか、であったり、作品に近しい領域でビジネスを実際に展開するベンチャー企業を例に挙げ、「ユーザーのこういった傾向に難儀しているが、どう対策していくのか?」等、具体的な事業計画について、時には厳しい質問もありました。
こういった難易度の高い質問に対しても、高専生たちは時には言葉に詰まりながら、時には仲間内でフォローしあいながら、出来る限り丁寧に、懸命に答えていました。

企業評価額で順位を決定するDCONですが、上位3校には企業価値5億円という価値がつきました。

その重要な要素となったのは、高い技術力のみならず、既に実証実験を行っており社会実装されている、そして事業性にも富んでいる点でした。

例えば、最優秀賞となった東京工業高等専門学校の『:::doc(てんどっく)』は、昨年開催された第30回高専プログラミングコンテストの課題部門でも最優秀賞を獲得しており、技術力は既に折り紙付きだった、とも言えます。
この作品について、審査を行ったベンチャーキャピタリストの方々からは、技術力の高さに加えて「点字という非常に深い課題でありながら、他の企業があまり進出していない、ブルーオーシャンに取り組んだ着眼点」、そして「点字は世界共通の課題であり、グローバル展開も視野に入れられる点」という、事業としての成立に繋がる2点を評価する声が上がっていました。

高専生は日頃から、「KOSEN4.0イニシアティブ(※)」の取り組み等を通じ地域社会の課題に応える活動に取り組んでいます。

しかし、こうした取り組みを継続するには、事業として自走していくことが必要です。また、多くが県庁所在地ではなく、第2・第3と呼ばれる都市に設置されている高専から事業が生まれれば、投資マネーや新規性がある事業によって地方経済・企業への刺激となり、技術の底上げにも繋がるため、社会に大きな影響を与えていくことも考えられます。

※KOSEN4.0イニシアティブ:「新産業を牽引する人材育成」、「地域への貢献」、「国際化の加速・推進」の3つの方向性を軸に、各国立高専の強み・特色を伸長することを目的として国立高専機構が実施しているカリキュラムの改訂や組織改編の取り組み。

DCONはこれまでアイディアベースであった高専生の社会課題解決の能力が、ベンチャーキャピタリストの方々による評価を通じ、実践的な能力としてのレベルに至っているであろうことが確かめられた、新たな機会となりました。

今後様々な産業に利用されるディープラーニング等のAI技術を通じ、高専生の技術力は、確かな社会実装能力で、産業を発達させる一翼を担うでしょう。

一般社団法人 日本ディープラーニング協会 岡田 隆太朗氏インタビュー


理事 兼 事務局長
岡田 隆太朗 氏

ここからは、大会を主催する一般社団法人 日本ディープラーニング協会(JDLA)の理事 兼 事務局長である岡田 隆太朗氏へのインタビューをお届けします。

JDLAはディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指し、ディープラーニングの産業活用促進、G(ジェネラリスト)検定・E(エンジニア)資格の認定等を通じた人材育成、公的機関や産業への提言、国際連携、社会との対話といった取り組みを行う団体です。
ディープラーニングに関する知識を有し、事業活用・実装出来る人材を増やすべく、育成は特に力を入れる領域のひとつです。この取り組みの一環として、DCONの主催として携わっています。

DCON設立の経緯や高専生を対象とした本大会の醍醐味、彼らに期待されるディープラーニング×ハードウェアの社会実装等についてお話し頂きました。



高専は、これから求められる「ディープラーニング×ハードウェア」人材の宝庫である


――まず、何故「高等専門学校生」を対象に、ディープラーニングをテーマとしたコンテストを開催しようとお考えになったのか、その理由・きっかけを伺えますでしょうか。


やはり「高専生の素晴らしさ」がその理由でありきっかけです。JDLAの理事長であり、DCONの実行委員会の委員長でもある松尾豊先生(東京大学大学院工学系研究科 教授)も、高専から大学へ編入してきた学生と日々接する中で「高校から入学してきた大学生と比較しても高専出身者は素晴らしい、技術力が高い」と語っていらっしゃいます。これがDCONを立ち上げるきっかけになりました。

その「高専生の素晴らしさ」の源泉としてまず挙げられるのは、5年間の教育の中で日頃からとにかく数学を勉強している、という点です。
数学の素養があると、ディープラーニング技術を修得するのも早いんですね。高専生には半年余りあればマスターしてしまう学生が多いのですが、これはすごいことです。

また、このキャッチアップの早さの前提には、とにかく手が動くという点もあります。
日頃から頭だけでなく手も動かすことは、本当の意味での筋トレになっているのでしょう。失敗も当然ある訳ですが、それが全て積み重なって糧になっている様に感じます。


――情報系学科以外に在籍する学生も多く出場していますが、数学の素養は共通していますね。


DCONは個人ではなくチーム単位での参加をルールとしています。プログラミング系、あるいはハードウェア系と、それぞれ専門性の異なる学科から学生が集まりチームビルディングしているのです。

ディープラーニングは現場のデータを収集するセンサー、そして現場でモノを動かすアクチュエーターの両方を組み合わせた方が、効果がより大きくなります。これらハードウェアにディープラーニングが組み合わさると、今まで出来なかったことが出来る様になるのです。

私たちは、こういったこれからのディープラーニングの社会実装の担い手になるのが、機械と電気の扱いに加えプログラミングも出来るといったスキルをベースに持ちつつ、素早くディープラーニングをキャッチアップ出来る、数学の素養を持つ高専生なのではないかと考えています。

高専生を対象にしたからこそ成立するスキームになっていますし、正直、高専生以外を対象としていたら、ここまでハイレベルなコンテストにはならなかったのではとも思います。


――ディープラーニングとハードウェアの組み合わせの重要性について、もう少し詳しく伺えますでしょうか。


JDLAは、ディープラーニングを社会実装するべく活動する産業団体です。私たちは、ディープラーニングは内燃機関やインターネットにも類する汎用目的技術として、ありとあらゆる所で使われていくだろうと考え、日々その普及のため活動しています。

ただ、ソフトウェアベースのディープラーニングの活用については、やはりアメリカや中国が先行しているのが実情です。

そこで、前段にお話したモノづくりとの掛け合わせが重要だという所に行き着きます。
モノづくりへのディープラーニングの活用は、まだまだアメリカも中国も進出し切れていない領域かつ、日本が強みを持つ領域でもあります。だからこそ日本はここで勝負するべきではないかと思いますし、DCONは、高専はそれが出来る人材の宝庫であることを示す機会でもあります。


東京高専のプレゼンの様子。メンターが見守る中、オンライン中継で数々の投資実績を持つベンチャーキャピタリスト陣からの審査に挑んだ。



現場に密着した経験を通じ、課題や試行錯誤のプロセスを理解していることの重要性


――高専生の可能性を示す機会としては、他にも幾つかのコンテストがありますが、DCONならではの特徴を教えて頂けますでしょうか。


高専の中にいると、自分たちの取り組みが研究室やコンテストを飛び出した時、社会でどの様な価値を生むのか、については正直わからないし、その価値を知り得る機会も少ない環境だったと思います。これまでのコンテストの評価は点数や対戦の勝敗によるものでした。

これに対して、DCONはどこでも通じる単位である「¥」で価値を測ることで、高専生の取り組みを社会にブリッジする、というコンテストです。

アイディアや技術を集約させた事業に、社会から値段が付くのはすごいことです。現役のベンチャーキャピタリストをお招きしてジャッジして頂きましたが、金額が付いて一番驚くのは、実は当事者である高専生、ひいては学生を指導する先生方です。自分たちの取り組みの価値に気付き、自信を持つきっかけになる体験になればと思います。

また、オンラインでのビデオ通話にはなりましたが、各チームとスポンサー企業の皆さんが直接対話出来る機会を設けました。
あの完成車メーカーはこうやってモノづくりをしているのか、あの精密機器メーカーは先端技術をこうやって事業に活用しているのか、という話を直接耳にすると、勿論参考にもなると思いますが、自分たちの取り組みには、そのまま社会で活かせる要素が沢山あると気付いて、背中を押す作用もあったと思います。

また、社会実装の事例が多数生まれる機会であることも、特筆したい点です。
国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)が2019年7月に発表した『産業分野における人工知能及びその内の機械学習の活用状況及び人工知能技術の安全性に関する調査』によれば、ディープラーニングを含めたAI技術を実装出来ている企業は10%にも満たず、着手中の段階を含めても40%未満程度に留まるという結果が出ています。
実装までのハードルを前に足踏みしている企業が大半を占める中、DCONの本選では、計11点にもなるディープラーニングの社会実装の事例を示します。更に言えば、これらの作品はトップには5億円もの価値が付いた、レベルの高いものばかりを生み出すのです。


――高専生たちの社会実装能力について、もう少し詳しくお聞かせ下さい。


先述のNEDOの調査によれば、企業への実装が進まない理由の圧倒的1位はなんと「“課題”がわからない」です。もう少し紐解けば、ディープラーニング、あるいはAIがどんな課題を解決出来るのかわからないので、どうやって活用すればいいのかわからないのです。

対して高専生は身近な地域の課題解決に常に取り組んでいるため、課題が何かをわかっていることが多いです。例えば今回本選に出場した佐世保高専はアジとサバを判別する技術をベースとした事業をプレゼンしていましたが、我々としてはそもそもそんな課題の存在を知らない訳です。
そうした、「課題を知っていること」がまず大きな強みですし、地域の課題には日本全国もしくは世界で売れる様な事業のヒントが凝縮されています。

頭で考えるだけでなく、現場に密着した経験を通じて課題も知っていれば試行錯誤のプロセスも知っている。特にこの試行錯誤こそが、ニューラルネットワーク(※)を彼らの中に作っている、まさにディープラーニングそのものだと思います。

※ヒトの脳内で電気信号を伝える神経細胞(ニューロン)網を、人口ニューロンという数理モデルを組み合わせて模したもの。ディープラーニングはこのニューラルネットワークを用いている。



大会プロセスの中で、高専生は想像以上に伸びていった



各チームをサポートしたメンターの方々。ディープラーニングを活用する、気鋭のITベンチャーの立ち上げ経験を持つ起業家陣が揃う。

――事前に予想されていた大会の姿とギャップはございましたか。


応募時からの本選に至るまでのプロセスにおける彼らの成長度合いは、想像以上でした。

エントリー段階は書面ベースになるため、皆アイディアでしかない段階ですが、1次審査通過後のプロトタイプを作る期間で、ひと考えするんですよね。だからこそ2次審査のメンター審査会に出てくるものは、1次審査の時よりもどれも完成度の高いものになっています。

エントリー段階ではソフトウェアで解決出来てしまいそうな提案に留まっているケースが多いです。
しかし、2次審査のプロトタイプ作成にあたっては、JDLAからABCIの計算資源(国立研究開発法人 産業技術総合研究所が構築・運用する世界最大規模の人工知能処理向け計算インフラストラクチャ)とABEJA社のAIモデリングプラットフォーム、NVIDIA Jetson(NVIDIA社が開発する自立動作系に特化したAIプラットフォーム)といったディープラーニング開発を支援するツールや、プロトタイプ製作経費を提供します。また、スポンサー企業からは、現場に足を運び、実際にそこで課題を抱えている方にヒアリングを行うための交通費も支給されます。
ここまで揃うと、高専生たちも全部の資源を使ってやろう、という気になるみたいです(笑)

エントリー段階ではセンサー部分にモノづくりの発想を使っているチームが多かったのですが、ここまで課題に向き合うと、作品も深まってくるんですよね。そしてメンターと出会うと、そこから更に劇的に伸びていきます。作品自体、ないし個人・チーム自体が大きく成長していきました。

加えて、今年はコロナ禍という社会的な地殻変動のせいで、プロトタイプ時とは作品を大きく変更したチームも多くありました。実験が出来なかったり、ディープラーニングにおいて重要なデータの作り方・取り方が思う様にいかなかったり、そもそも外出が出来ない状況の中で課題に変化が起こったりということがあった様です。社会の変化に柔軟に対応していくという観点も、皆非常に磨かれたのではないでしょうか。


――本選を拝見していて、出場した高専生たちとメンターの間には、数週間や何度かのミーティングでは生まれ得ない、深い関係性が築かれている様に感じました。


今回は36チームからの応募があり、そこから30チームが1次審査を通過しました。
2次選考ではこの30チームが製作したプロトタイプがメンターによって審査され、このメンターが1チームに1人ずつ付き、その後の本選まで伴走します。どのチームにどのメンターが付くかは、大会主催側が振り分けるのではなく、メンターの皆さんが自らチームを選びます。言うなればドラフト会議の様に決まっていくのです。
メンターの方々は自ら選んだチームに対し、自分のアイディアを交えながら関わるので、多忙な中で時間も労力もかなり割いて下さるんですね。

この点をメンターの方々に伺うと、そこまで力を割くのはやはり高専生がすごいからこそだ、という声が聞こえます。例えば改善点を指摘すると、その次のミーティングまでに想像以上の成果を上げてくるので、メンター側も負けていられない、とまた本気でぶつかっていく。その応酬が本選の舞台に全て凝縮していました。



どの高専も、そしてどのビジネスマンも、全員が自分事だと思って触れてみて欲しい


―――「ディープラーニング」は社会実装の途上にある技術と拝察しますが、様々な企業へどの様に普及していくべきか、岡田様が考えておられる将来像についてお話し下さい。


ウィズコロナ時代と言われる今は、新しい事業を立ち上げ、一気に世に出ていくチャンスでもあると思います。
この状況に伴ってDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速していますが、デジタル、更にはディープラーニングがあらゆる所に使えることに日本中が気付き始めていると思うんです。
人が出勤しないでどうやったら仕事を進められるか等を真剣に世の中が考え始めている今、ハードウェアにまつわるモノも含めたあらゆる課題を、モノづくりの技術や、加えてディープラーニングを活用することで解決する必要性は高まっているのです。

そのためには、とにかくディープラーニングがどういったものか、「AI」の2文字で完結させず、具体的に何が出来るのかを知って貰いたいです。

ディープラーニングが何を実現出来るのかがわかれば、自社のビジネスのどの部分に導入すれば業績を伸ばしていけるのかに気付けます。

その使い所に気付くための事例として、今回で言えば11チームのピカピカのアイディアを参考にして欲しいと考えています。


――これからDCONへのエントリーを検討される高専各校や教職員の方々、そして高専生へ向けたメッセージをお願いします。


コンテストに積極的に出場している一部の高専やゼミだけの話だとは思わず、皆にとってのチャンスだと、全員が自分事だと思ってチャレンジして欲しいと思います。
ポテンシャルは全ての高専生が持っていますし、尚且つこれまでにもお話した様に、プロセスの中でも成長出来るので、まずはアイディアベースで気軽に応募用紙を出すところから始めてみて欲しいです。

また、DCONというコンテストは1日で終わりますが、あの場に至るまでのプロセスの中でも、各高専でのディープラーニング教育の充実を支援する等を通じ、バックアップをしていきたいと考えています。
加えて、2019年のプレ大会で優勝・準優勝となった2チームは、既に起業して株式会社としてスタートを切っています。こうした、企業化して社会実装の事例が増えることは、JDLAにとっては理想の実現に繋がることですから、この「アフターDCON」も、積極的にバックアップしていこうと思っています。

DCONという枠組みの中に入って頂くと、学べることや受ける刺激、広がる世界があるのではないでしょうか。ここに飛び込まない手はないと思いますね。


――本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。