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高専トピックス

はじめに


木更津高専で開催された会場入口のコンテストポスター

KOSENセキュリティコンテスト2023は、全国の国立・公立・私立の高等専門学校(以下、高専)58校63キャンパスの学生を対象とした、情報セキュリティの技術を競うコンテストです。

今大会は、会場である木更津高専での現地参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形式で開催されました。


今大会の開催地となった木更津高専校舎。

全国の高専から42チーム(現地会場の参加6チームを含む)131名が参加しました。最優秀チームは、日本最大級のセキュリティCTF大会である『SECCON CTF 2023』(※)への出場権を得られます。

今回は2023年11月18日(土)に開催された様子をお伝えします。

※SECCON CTFは特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)のSECCON実行委員会が主催しています。実践的情報セキュリティ人材の発掘・ 育成、技術の実践の場の提供を目的としています。

(掲載開始日:2023年12月4日)

K-SECについて

K-SEC(KOSEN Security Educational Community=サイバーセキュリティ人材育成事業)は、サイバーセキュリティ分野のエンジニア不足に対応するべく、2016年度に国立高等専門学校機構が立ち上げた教育事業です。

2020年度から『高専発!「Society 5.0型未来技術人財」育成事業』と呼ばれるSociety 5.0により実現する未来技術の時代をリードする人財育成モデル開発・展開を進めています。
この2大プロジェクト(※)の1つであるCOMPASS 5.0では、AI・数理、データサイエンス、サイバーセキュリティ、ロボット、IoT、半導体、蓄電池など、次世代基盤技術の教育体制の強化を目指しています。
K-SECは、この中でサイバーセキュリティ分野を担うもので、KOSENセキュリティコンテストは、K-SECの活動の一環として開催されました。

※GEAR 5.0(未来技術の社会実装教育の高度化)、COMPASS 5.0 (次世代基盤技術教育のカリキュラム化)から成る人材育成事業。

競技内容

競技形式は、Jeopardy形式のCTF(Capture The Flag)です。
Jeopardy形式は、複数分野の問題から参加者が選んで解答する形式で、正解することによって得たポイント数を競います。この名称の由来はアメリカの長寿クイズ番組「Jeopardy!」とされています。

また、CTFとは、問題に隠されたフラグと呼ばれる特定の文字列の獲得を目指します。高難易度の問題に正解するほど高得点を得られるため、成績によってその人の実力を計ることができます。CTFにはいくつかの競技形式がありますが、メジャーなJeopardy形式で開催される頻度が多い傾向にあります。


参加している学生たちはPCや書籍等で調査しながらCTFの問題を解答していきます。

競技時間は9時20分から16時までの6時間40分と定められ、一見長いようですが、参加者からすると非常に限られた時間です。
この短い時間内でより多くの問題を解くためには、自身の知識だけでなく、様々な能力が求められます。それは、情報を整理し、解読するための能力、インターネットや書籍から必要な情報を見つけ出す能力、そして最短時間で解答を見つける能力等です。これらは全て、セキュリティの現場で必要とされるスキルです。
つまり、この競技はただ問題を解くだけでなく、情報を探し出し、整理し、解読するという一連のプロセスを通じて、参加者のセキュリティに対する総合的な能力が試されました。


現地参加チームは時折チームと相談しながら、一丸となって今大会に挑みました。

激しい競争の末、優勝したのは「長野工業高等専門学校・SUSH1st(スシファースト)」で、3200点を獲得しました。
同率2位は「弓削商船高等専門学校・catapult」と「高知工業高等専門学校・コマプロ同好会」で、2200点を獲得しました。
次いで、4位は「東京都立産業技術高等専門学校(品川キャンパス)・TMCII-AKIS」で2100点、5位は現地参加した「奈良工業高等専門学校・ボゴソートに囚われた少年達」で2000点を獲得しました。

おわりに

高専生たちは限られた時間の中で、日頃の学修成果を活かし、一致協力して正解を導き、彼らの持つポテンシャルやチームワークを遺憾なく発揮していました。
また課せられた問題の中には、サイバー攻撃で実際に利用される技術の知識が無ければ解けない問題も含まれており、高専生たちはアプリケーションの脆弱性を迅速に特定し、現実の攻撃への対応力も相当なレベルで備わっていると窺えました。

近年、社会全体がDX化し、AI技術の大衆化も進み、生活が便利になる反面、それらの技術を悪用した事例は世界規模で増加しています。サイバー攻撃も例外ではなく、巧妙化・複雑化の一途を辿っています。
高専生は、15歳という早い段階から高度なサイバーセキュリティに関する専門教育を享受できる環境に身を置くため、今後益々、サイバーセキュリティ分野での活躍が期待されます。
高専生たちの今後の更なるシステム技術力の向上に目が離せない、大変有意義な実り多き大会でありました。

※この記事の所属・役職・学年等は取材当時のものです。