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高専トピックス

会場となった快晴の両国国技館

アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)は、1988年から毎年開催され、今年で37回目の開催となります。高専ロボコンは全国の国立・公立・私立の高専58校63キャンパスが、毎年異なる競技課題に、アイデアを駆使してロボットを製作し、競技を通じてその成果を競うコンテストです。
全国の8地区(北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、中国、四国、九州沖縄)で実施された地区大会を勝ち抜き、選抜された26チームが全国大会に出場しました。

今年の競技テーマは「ロボたちの帰還」です。これは、遠い星からサンプルを収集し、それを地球に持ち帰るというミッションを再現したものです。各チームは2台以上のロボットを製作し、射出・着地・回収・帰還といった一連の動作に挑みます。このプロセスには、安全な着地や効率的なオブジェクト回収といった高度な技術が要求され、ロボコン史上、最も難易度の高い課題とされています。
地区大会を勝ち抜いた26チームが両国国技館での晴れの全国大会に進出し、高専生たちの独創的なアイデアと技術力がぶつかり合う白熱の試合が繰り広げられました。

本記事では、高専ロボコン2024の熱戦と感動を受賞作品とともにお届けします。

(掲載開始日:2024年11月22日)

テーマ・ルール


競技フィールド概要図。

実際の競技フィールドの様子。着地スポットには、段差が設けられており、ロボットの操作を一層難しくさせている。

本競技のミッションは、射出されたロボットが狙った場所に着地し、オブジェクトを回収して、それを持ったまま、帰還するというものです。昨今話題となった月面探査機SLIMの「ピンポイント着陸」や、はやぶさ2の「サンプルリターン」などをイメージしています。

競技フィールドは、A~Cの3つのエリアに分かれています。エリアAは、「スタートゾーン」が設けられたエリア、エリアBは接地禁止エリア、エリアCは、着地スポットが配置されているほか、ボール(※1)とボックス(※2)が置かれたオブジェクトゾーンを含むエリアとなっています。
ロボットは、エリアAのみで操作可能なロボット1、エリアCでの着地・オブジェクトの回収・エリアAに帰還するロボット2(複数台使用可能)で構成されます。

まずエリアAからエリアCに向けて、ロボット1がロボット2を射出し、着地スポットに着地させると得点となります(※3)。着地スポットは中央から順に100点、40点、10点となっています(スポット外に着地した場合は、1点)。
次に、エリアCでは、ロボット2がボールとボックスを回収します。ボールはエリアAのロボット1に渡れば得点となり、ボックスはロボット2がエリアAに持ち帰れば、得点となります(※4)。ボールは1個につき10点、ボックスは1個につき60点となっています。競技時間は2分30秒です。

今回のルールは、正確な射出・着地制御、着地時の衝撃への対策、効率的なオブジェクトの回収、安全な帰還方法といった、考慮すべきポイントが多く、高専生のアイデアの見せ所となっています。特に衝撃への対策は、今までのロボコンには無かった考慮すべきポイントです。一般的に機械は衝撃に弱く壊れやすいですが、衝撃に耐えるために単純に剛性を高めると、重量も大きくなってしまいます。そのため設計者には、軽量化と衝撃吸収性能の両立を目指した工夫が求められます。
また、ロボット2は、「すべてのロボットの合計重量は 30 ㎏以内」というルール内であれば、複数台の使用が認められており、ロボット間の相互作用を考慮しつつ、パフォーマンスを最大化するためのロボット構成のアイデアも試されており、最適解が一つではなく、戦略の自由度が高いという点も、今回のルールの特徴となっています。

対戦形式はトーナメント形式です。トーナメントを勝ち上がった優勝チームと準優勝チームには表彰が贈られます。
また、「ワイルドカード」制度があります。これは、1回戦・2回戦で惜しくも敗退したものの、その戦いぶりが優れていたチームを審査員が選出し、選ばれたチームには準々決勝へ進出する機会が与えられるものです。
さらに、大きな夢とロマンを持ってロボットを製作し、見る者に深い感動を与え、唯一無二のアイデアを実現したチームには、最も名誉ある賞「ロボコン大賞」が贈られます。
このほかにも、アイデア賞、技術賞、デザイン賞、アイデア倒れ賞、特別賞など、多様な賞が用意されており、参加チームの様々な努力と創意工夫が評価されます。

※1 ボールは直径200mm程度のサイズが7個ある。
※2 ボックスは200mm 四方の立方体が3個ある。
※3 ルール上、着地はロボットの接地面が「静止した地点」で判定される。
※4 ただし以下の通り、オブジェクトによって得点判定に若干の違いがある。
ボール:ロボット1が直接・間接問わずに持ち上げた状態(フィールドに接地していない状態)だと得点となる。
ボックス:ボックスとボックスを持ったロボット2が、上空を含めエリアAに完全に入った時点で得点となる。

表彰されたチーム一覧(学校名・プロジェクト名・賞)

学校名 プロジェクト名
香川高等専門学校(詫間キャンパス) KKOカカオロボコン大賞
大阪公立大学工業高等専門学校 銀火ギンガ優勝
熊本高等専門学校(熊本キャンパス) 星射必宙セイシャヒッチュウ準優勝
呉工業高等専門学校 天地無用テンチムヨウアイデア賞
熊本高等専門学校(八代キャンパス) MilkyHighwayミルキーハイウェイ技術賞
木更津工業高等専門学校 きさぺん越冬隊エットウタイデザイン賞
大島商船高等専門学校 カモメ漂流記ヒョウリュウキアイデア倒れ賞
大分工業高等専門学校 翡翠カワセミ特別賞(本田技研工業株式会社)
函館工業高等専門学校 HAKODAKEハコダケ特別賞(マブチモーター株式会社)
北九州工業高等専門学校 色彩創造クロマティッククリエイターズ特別賞(株式会社安川電機)
東京都立産業技術高等専門学校
(荒川キャンパス)
飛行星Xヒコボシテン特別賞(東京エレクトロン株式会社)
奈良工業高等専門学校 射駒イコマ特別賞(田中貴金属グループ)
旭川工業高等専門学校 LazuRiteラズライト特別賞(ローム株式会社)
香川高等専門学校(高松キャンパス) 橋をかける少女特別賞(セメダイン株式会社)
石川工業高等専門学校 天舞逸品テンブイッピン特別賞(株式会社デンソー)

ロボコン大賞:国立 香川高等専門学校(詫間キャンパス)  [香川県]


KKOの全体像。円形車体の回収ロボットが他のチームに類を見ないユニークなデザインとなっている。

射出されたロボットが起き上がる様子。起き上がりこぼしのような動きは緻密な計算がされており、100点エリアにほぼ完璧に着地することが可能。

プロジェクト名:KKO(カカオ)

栄誉あるロボコン大賞に輝いたのは、香川高等専門学校(詫間キャンパス)です。

製作した「KKO(カカオ)」は、独創的なデザインと高度な技術力を融合させたロボットで注目を集めました。
その最大のアピールポイントは、塩ビパイプを用いた円形車体の回収ロボットです。
この円形構造は、着地の精度を最大限に高めるため、サイズ・角度・重心位置が緻密に計算されています。射出後、ロボットは着地スポットに到達すると、起き上がりこぼしのようにスムーズに起き上がり、100点エリアで静止状態をキープします。「100点エリアを通り越したか」と思わせるような動作から、まるで100点エリアに吸い込まれるように、ぐるっと回転するトリッキーかつ精密な着地(静止)に、会場は大いに沸きました。さらに他のチームは着地に特化したロボットもいる中、「KKO」は着地したロボットがオブジェクトの回収も行い、もう一台の橋を架けるロボットと連携してスムーズに帰還を果たしました。

審査員からは、「故障を恐れない大胆な機体サイズや、特徴的な円形車体を活かした果敢な挑戦が素晴らしい」と高い評価を得ました。さらに、100点エリアでの正確な着地に加え、着地後のオブジェクト回収までを見事にこなした点も強く印象に残りました。

独創的なアイデアと緻密な設計で挑戦を続けた香川高専(詫間キャンパス)は、競技テーマ「ロボたちの帰還」において最も優れた成果を示し、見事ロボコン大賞に輝きました。

優勝:公立 大阪公立大学工業高等専門学校 [大阪府]


ワイルドカードで復帰した準々決勝の相手は、昨年の決勝戦で勝利した熊本高専(八代キャンパス)。因縁の対決が再び幕を開ける。

2回戦の呉高専との対戦で、オブジェクトを積んだカゴをエリアAに帰還させる際に、ボールがこぼれた瞬間。この後、呉高専がミッションコンプリートしたことにより、大阪公立大高専は10点差で敗退する。

プロジェクト名:銀火(ギンガ)

優勝は、2連覇を達成した大阪公立大高専でした。過去37回の高専ロボコン大会の中で、連覇は米子高専、松江高専に次ぐ3校目の偉業となります。

関西地区大会で準優勝となった戦いぶりから、優勝の奈良高専と共に盤石に勝ちあがると見られていたところ、2回戦でボール1個の取り逃しによって、10点の僅差で呉高専に敗れてしまいました。しかし、ワイルドカードに選ばれ準々決勝に進出して以降、準決勝、決勝とすべてミッションコンプリート(350点満点)を果たし、決勝では41秒という出場チームの中で、最速タイムを叩き出し、圧倒的な強さを示しました。

昨年の優勝と同様、勝ちに拘わった戦略が試合運びの中で、ふんだんに盛り込まれています。まず、着地用ロボットを着地スポットの中央に確実に着地させます。次に、回収カゴを搭載したオブジェクト回収ロボットを使用します。このロボットは、すべてのオブジェクトを短時間で回収カゴに流し込む機構が備わっています。また、エリアAへの帰還は橋や竿を使うのではなく、回収ロボが射出されて帰還する方法を採用しました。ロボットを射出する機構には、他チームが空気やバネを多用するなか、モーターを使い電気で飛ばすことに拘り、フレームは3Dプリンタで成形しています。さらに、地方大会で5戦、全国大会で5戦の合計10戦を戦い抜く耐久性も、今大会では大きな勝因となりました。

戦略や技術の重要性と共に、最後に優勝インタビューで学生が語った「信頼し合った最強の仲間」という言葉に表される絆が何よりも強いチームの証と言えるでしょう。

準優勝:国立 熊本高等専門学校(熊本キャンパス) [熊本県]


100点エリアをめがけて射出される様子。着地のダメージを抑える工夫として、ロボット下部に緩衝材があり、着地後に切り離し、スムーズに回収ロボットが動作する工夫が施されていた。

回収ロボットが帰還する様子。ロボット前方(写真右側のロボット)についてる吸盤を用いて、スムーズにオブジェクトを回収していた。

プロジェクト名:星射必宙(せいしゃひっちゅう)

準優勝となった熊本高専(熊本キャンパス)のロボットはプロジェクト名「星射必宙」という名の通り、回収ロボットが、100点エリアへ着地する驚異的な正確性を誇ります。
さらに、射出された回収ロボットは、吸引ポンプと吸盤を用いた独特な回収機構により、ボールやボックスを吸着してテンポよく効率的に回収します。収穫物を背中のかごに丁寧に入れていく動きには、どこか愛らしさすら感じられました。

本選に臨んだロボットたちは試作を重ね完成した3号機とのことで、テーマをクリアするために創意工夫を凝らし、ロボットの性能を追求する高専生の飽くなき探求心がひしひしと伝わってきました。「星射必宙」は安定した高得点を次々と記録し、強豪チーム相手に接戦を繰り広げました。

惜しくも優勝は逃しましたが、熊本高専(熊本キャンパス)のチームワークと技術の粋を尽くしたパフォーマンスや高専ロボコンに対するほとばしる情熱は、会場の注目を集め、高専ロボコンの舞台を熱く盛り上げました。

アイデア賞:国立 呉工業高等専門学校  [広島県]


オブジェクト回収ロボットは、メインの1台と、サブ2台の計3台で構成されており、オブジェクトの回収が並列に行えるため、時間効率の良い回収が可能となっている。

オブジェクト回収ロボットのエリアAへの帰還時の様子。オブジェクト回収ロボット起因のモーメントで発射ロボットが倒れないように、発射ロボットの重量や重心の調整等が最適に施されていることが窺える。

プロジェクト名:天地無用(テンチムヨウ)

他に類を見ない独創的なアイデアを実現したチームに贈られるアイデア賞には、呉高専が選ばれました。

製作したロボットは、発射ロボット・着地ロボット・オブジェクト回収ロボットの3つで構成されています。着地ロボットは、羽子板の羽を彷彿とさせる形状かつ飛行時に進行方向を軸とし回転する仕様のため、飛行の安定性を追求した設計となっています。これは、過去のロボコン出場作品を研究して着想を得たとのことです。また、オブジェクト回収ロボットは小型ロボット2台を搭載し、本体と合わせて最大3台でボールやボックスを効率的に回収します。
エリアAへの帰還時には、オブジェクト回収ロボットから2本の竿が伸び、エリアBをまたいで発射ロボットと連結します。そして、発射ロボットがオブジェクト回収ロボットを少し持ち上げつつアームで引き寄せるという独創的な仕組みによって、オブジェクト回収ロボット本体とオブジェクトの回収を同時に行います。

特に2回戦では、のちに今大会で優勝する大阪公大高専(※)との一戦でしたが、ミッションコンプリート(350点満点)をたたき出し、見事勝利を収めて会場を沸かせました。審査員の方々からは「竿の使い方が巧みで、ドッキングして持ち上げる姿には遊び心が満載で、会場に大きな旋風を巻き起こした」と高く評価され、アイデア賞に選ばれました。

※大阪公大高専はこの試合では負けたが、ワイルドカードで復活し優勝した。

技術賞:国立 熊本高等専門学校(八代キャンパス)  [熊本県]


放物線を描いて100点の着地点へ正確に飛ばす様子。全試合で100点を狙い続けるその精度に、会場は大いに盛り上がった。

橋を渡ってエリアAに帰還する様子。その群を抜くスピードの速さは圧巻で、ミッションを迅速にコンプリートするロボットの高い技術力と操作力が際立っていた。

プロジェクト名:MilkyHighway

熊本高等専門学校(八代キャンパス)のロボットが、技術的な完成度の高さから技術賞を受賞しました。着地ロボットが着地スポットの100点エリアにノーバウンドで正確に着地し、次に回収ロボットが巨大なローラー付き機構で箱やボールを一気に回収し、橋を架けるロボットが橋をかけ、天の川を模した橋を渡りながら帰還する見事な技術力を披露しました。

特に、安定した射出・着地姿勢制御のアイデアが素晴らしく、100点エリアへの着地精度が際立っていました。また、大量のオブジェクトを端から端まで効率的に回収する機構も印象的です。天の川を彷彿とさせる橋をスムーズに渡る動きは、観客や審査員の目を引きました。

地区大会で2度のミッションコンプリート(350点満点)を成し遂げ、全国大会では全試合でのコンプリートを目指しましたが、準々決勝で、のちに今大会で優勝する大阪公大高専と、白熱した試合を繰り広げ、あと一歩のところで惜しくも敗れてしまいました。

審査員からは、確実なノーバウンド着地、橋を渡る流麗な動き、そして一気にオブジェクトを回収する効率性が特に称賛されました。「MilkyHighway」は、その名の通り技術力と創造性を天の川のように輝かせ、技術賞に相応しい作品として表彰されました。

デザイン賞:国立 木更津工業高等専門学校  [千葉県]


発射台ロボットとボール・ボックス回収ロボット。発射台ロボットは波のような優美なデザインとなっており、こだわりが感じられる。

動かなくなった「きさぺん」(手前側)とエリアAにボックスを持ち帰るために、ジャンプの助走をしている「きさぺん」(奥側)の様子。

プロジェクト名:きさぺん越冬隊

機能的な美しさや装飾に秀でたロボットを作ったチームに贈られるデザイン賞は、木更津高専が選ばれました。

同チームが製作したロボットは、発射台ロボット1台、ボール・ボックス回収ロボット2台、着地兼ジャンプ台ロボット1台の計4台で構成されています。特に着地兼ジャンプ台ロボットは、楕円形のタイヤを備え、左右非対称の回転によってパタパタと波を模した動きをする、独創的な設計が特徴です。
また、ボール・ボックス回収ロボットには「きさぺん」という名前がつけられ、ペンギンをイメージした愛らしいデザインとなっています。「きさぺん」は、最大35km/hでの高速移動が可能で、吸盤を活用してボールやボックスを効率よく回収する仕組みを備えています。

審査員からは、「かわいいペンギンロボットがダイナミックに帰還する姿や、倒れても起き上がる姿は記憶に残るものでした」と評価され、デザイン賞を受賞しました。

アイデア倒れ賞:国立 大島商船高等専門学校  [山口県]


射出機構の様子。こちらもクローラー同様木材ベースの材料で構成され、射出はカモメの飛行を再現している。

無事に射出され、着地ポイントに辿り着いたが動かなくなってしまった「カモメっ子」。

プロジェクト名:カモメ漂流記

アイデアは優れていたものの、その真価を十分には発揮出来なかったチームに贈られるアイデア倒れ賞は、大島商船高専が選ばれました。

木製クローラー「うみねこ」を装備したロボット「カモメっ子」は、大島商船高専のキャラクター「かもぞう」をモチーフにしたロボットです。エリアCに向けた射出では、まるでカモメが滑空するような優美な動きを見せ、会場を湧かせました。さらに、全国大会では披露することが叶いませんでしたが、着地後にくちばしでボックスを保持するという演出が用意されていました。また、「カモメっ子」の帰還には、遅れて到着した親カモメの助けを借りて帰還するというストーリーも用意されており、技術力だけでなく、豊かな発想力や遊び心も持ち合わせていることが窺えました。
ロボットの製作には、木材や竹などの自然素材が使用され、クローラーのギアや射出機構の設計に特性が活かされています。射出は成功したものの、着地時にパーツが外れロボットがうまく起動しないトラブルが発生しました。このことが原因で、アイデアは素晴らしかったですが、残念ながら、1回戦で敗退となりました。

審査員からは、全国大会で唯一の空中滑空方式を採用した大胆な試みを高く評価されていました。「カモメっ子」が着地地点に向かって滑空する姿は活動的で、着地時に白いパーツが落ちたトラブルは、白いパーツが卵に見えて、感動的なカモメの産卵シーンのようだったとの声もありました。挑戦的な試みにもかかわらず、技術的な不備が原因で、勝ち進むことが叶わなかったのは、アイデア倒れ賞に相応しいとの評価を受け、受賞となりました。

おわりに

今大会のテーマ「ロボたちの帰還」は、ロボコン史上、最高難易度を誇る競技ルールでした。ロボットが別のロボットを射出し、それが安全に着地してオブジェクトを回収、さらに帰還するという複雑な課題は、これまでの大会には見られなかった新たな挑戦です。高専生たちは、日頃から培っているアイデア力と技術力を発揮し、この最高難易度のルールに果敢に挑みました。その姿は観客に深い感動を与え、ものづくりに対するみなぎる情熱を強く感じさせました。

近年、社会はAIやロボット技術の発展が著しく、これらを活用した課題解決が求められる時代を迎えています。災害対応や物流、自動化・省力化産業など、ロボットの活躍が社会に与える影響はますます大きくなるでしょう。今回の大会で見られた高専生たちの挑戦心や創造力は、まさにこれからの未来を切り開く大きな可能性を示してくれました。

困難な課題に挑む姿勢、アイデアを形にする技術力、そして仲間と協力し合って目標を達成する姿は、これからの社会に求められる「人財」そのものです。次回の大会では、さらにどのような挑戦や革新的な技術を見ることができるのか、ますます期待が高まる実り多き第37回高専ロボコンでした。

※全国大会での高専生の活躍は、2024年12月15日(日) 午後2時00分から午後2時54分にNHK総合にてTV放映される予定です。
NHK-高専ロボコン:第37回全国大会

※この記事の所属・役職・学年等は取材当時のものです。