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高専トピックス

2022年8月24日(水)にTBSで放映された「東大王クイズ甲子園2022」で松江高専クイズ研究会(情報工学科 佐々木さん、柿田さん、藤原さん)のチームが、日本各地の予選を勝ち抜いた11校の中を勝ち進んで優勝しました。
東大王クイズ甲子園は、2020年から夏季に行われている高校生・高専生によるクイズ大会で、各地区予選を勝ち抜いた3人1組のチームがスタジオで対決し1回戦と準決勝を経て決勝で優勝を目指すものです。

松江高専クイズ研究会メンバー(インタビュー出席者)
・佐々木涼太郎さん(情報工学科5年)
・藤原一馬さん(情報工学科5年)
・山根悠太郎さん(情報工学科5年)
・バー太喜サイードさん(電子制御工学科2年)
・山本侑平さん(電気情報工学科1年)
・奥野優仁さん(情報工学科1年)
・髙橋樹生さん(情報工学科1年)

※大会出場者は佐々木さん、藤原さん、柿田さん(情報工学科5年)の3名でした。
(掲載開始日:2023年2月20日)

本選ダイジェスト


全国237チーム、800人以上が参加した、TBS「東大王クイズ甲子園2022」の決勝収録スタジオにて。
写真提供:TBSテレビ「東大王クイズ甲子園2022」

1回戦は「早書きクイズ」が3問、「3アンサーズ(※)」が2問、「全員一斉早押しバトル」が5問。Cブロックで同志社高校とN高校を下した松江高専チームは1位で通過し、準決勝に進出しました。その準決勝はAブロックを勝ち抜いた前回王者の栄東高校、Bブロックを勝ち抜いた都立青山高校、サバイバルマッチを勝ち抜いた県立浦和高校、そしてCブロックを勝ち抜いた松江高専の4校です。「テーマ限定しりとり」で都立青山高校が敗退し、残る3校が決勝に進出することになりました。
そして優勝を決める決勝戦がいよいよスタート。前半の筆記試験を終えたところで、栄東高校が120ポイント、県立浦和高校が100ポイント、松江高専が70ポイントと、松江高専クイズ研究会チームは出遅れます。しかし、最後まで勝者の分からない手に汗を握る接戦を制し、210ポイントの最終スコアを獲得し10ポイント差で栄東高校を退けた松江高専が優勝しました。

※ 3アンサーズ:1つの問題に対して3つ解答するクイズ形式

松江高専クイズ研究会の皆さんへインタビュー


地域放送局の関係で、研究会メンバーは、先輩の雄姿をリアルタイムで見ることが出来ませんでしたが、日頃の練習の成果を出せば勝てる、と皆信じていました。

――優勝した瞬間のお気持ちはいかがでしたか。

佐々木さん:勝っちゃった…やばい!…といった心境でした。勝ちたい、勝てる、とは思っていましたが、自分の人生の中でこんな瞬間が訪れるとは予想もしていなかったので、自分に驚いて困惑していました。

藤原さん:佐々木くんと同じです。めちゃくちゃ嬉しいという気持ちにはならず、現実感がありませんでした。後からじわじわ充実感がやってきたのを覚えています。

佐々木さん:確かに嬉しさはしばらく後に感じました。

バーさん:出場メンバー以外の僕たちは東京のスタジオには行っておらず、しかも島根では生放送されておらず、リアルタイムに先輩たちの快挙を味わうことは、できませんでした。最初に優勝を知ったのはTwitterです。優勝したみたいだ…って、(笑)。

髙橋さん:優勝報告のしばらく後に放送されたんですよ。

山本さん:先輩たちのボタン早押しや回答の瞬発力は凄かったですね。どれほどの対策をすれば、あの様な解答が可能になるのか、やはり先輩たちは憧れる存在です。

――勝因をどのように考えているのかを教えて下さい。

佐々木さん:チームワークと対策を立てて行った練習です。大会の出題傾向の分析までは、どのチームもしているはずです。私たちは予想問題をつくって解き合いながらお互いのことをよく知り、1つの問題にチーム力で挑みます。例えば、1人がボタンを早押しし、あとの2人がその間に正解を考えるという連携が得意ですね。

藤原さん:実は、出題を予測していたリストの中から2つもヒットしました。最近見つかった新種の生物とか、大阪万博公式キャラクターのミャクミャクは、どこかで必ず問題の答として出してくると読んでいたのです。

奥野さん:でも、ミャクミャクの時の、覚悟を感じるボタン押しの瞬発力は凄かったです。

佐々木さん:しっかりとした対策やチームワークが奏功しましたが、勝負に臨む覚悟があったからこそ、運も味方に付いたと言えるかもしれません。

――クイズ研究会の日頃の活動の様子を教えて下さい。

山根さん:普段は公民館を借りて、ボタンを持って、誰かが出題し誰かが答えるという模擬練習を行なっています。 問題は市販のものを使ったり、大会の記録からピックアップしたりと様々です。もちろん、大会によって異なる出題傾向を分析して自分たちでオリジナルの問題をつくることは大切です。

藤原さん:皆で模擬練習を行う中で、問題文の一部から正解を類推するようなテクニックが磨かれます。こうしたクイズ研究会を創設した5年生の僕たちが蓄積してきた「勝つためのノウハウ」を、後輩たちが受け継いで行ってほしいですね。


公民館でこのボタンを使って練習しています。クイズの出題形式や問題傾向を分析し、自分たちでオリジナルの想定問題を作って練習をします。

――皆さんが高専で学んで良かったと思うことを教えて下さい。

山根さん: 休みが大学並みに多いことかな(笑)。自分の好きなことに集中して時間を割けるのが嬉しいです。

佐々木さん:5年生まであるから、高校生対象のクイズ大会に高校生よりも2年多く出場できるメリットがあります。

髙橋さん:5年間にわたってじっくりと学べるのが良い点だと思います。普通の高校のように3年生の時に受験勉強に追われることがありません。僕は4年生になったら学生会で活躍したいと考えています。

バーさん:僕は元々ものづくりが好きで高専を志望しました。高専はプログラムを書いたり機械をつくったりと、色々なジャンルの工学に触れられますから、刺激があって楽しいですよ。それに加えて、校則が自由なことも松江高専の好きなところです。

山本さん:そうですね。1年生から本格的な工学の授業を受けられ、受験勉強に時間を取られずに5年にわたって工学をしっかりと学べるのが魅力だと思います。

奥野さん:様々な人がいるのが高専の魅力だと思います。中学生の時からOSのプログラムを書いているような凄い人もたくさんいます。刺激を受けますよ。

藤原さん:レスコンやロボコンなどを通して、新しいことに挑戦する機会がたくさんあるのが高専です。短期留学などもし易いですね。


――皆さん、研究や授業でお忙しい中、お答え頂きありがとうございました。

※この記事の所属・役職・学年等は取材当時のものです。