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実践的技術者を輩出する高専の特徴

実践的な教育 ~実験・実習・コンテストと産学連携~

実験・実習

全国の各高専は、“卒業生の質の担保” というひとつの大きな共通のテーマの下、教授陣達が学生の教育活動に深くコミットしています。
その証左として、学年毎に一定レベルの学習成果が認められない場合は、進級が許されず、落第となり、進級させないという運用が厳密になされています。更に、技術で世の中を良くするという “社会実装” という教育理念に基づき、入学当初の15歳の時点から、各学科毎に、授業の中でとりわけ “実験”、“実習” に注力しており、このように若い年次から、各種実験、実習に取り組むことは勿論のこと、実験装置も市販のもので不充分な場合は、自ら手を動かし、その実験装置さえも手作りしてしまう強者も現れます。これを支える高専特有の技術職員という先生方が、学生の実験や実習を陰に陽にバックアップして下さる態勢がとられており、日々実験設備や実験装置をより適切に作成することで、貢献して下さっております。

一般に国公私立の大学の理工系学部へ入学すると、学生は1~2回生の時期は一般教養科目・専門科目を座学で学ぶのみで、実験という理系らしい授業をスタートするのは3回生の20歳以降からとなります。この5年間の早期実習は、極めて大きなアドバンテージとなっております。その結果、高専の本科5年間を卒業後に大学の理系学部に編入すると、或いは、高専の専攻科を卒業後、外の大学院に進学すると、実験の段取りやスキルの面では、若い感性溢れる15歳の時点から実験・実習に明け暮れた高専卒業生の習熟度や勘所が優っていることは、受け入れた各大学・院の教授陣も異口同音に感じておられるところであります。

更に、昨今は、旧帝国大学の理工系各学科の卒業時に、元・高専卒業生が主席に選ばれていることも、あちこちでマスメディアに取り上げられている事実からも、感受性豊かな15歳という若い年齢で実験や実習を手掛けられるカリキュラム構成と、教授陣のみならず実験をサポートする技術職員という独自の体制も見逃せない要因であります。

コンテスト

以下のような代表的なコンテストを皮切りに、多様な全国的規模のイベントが行われています。イベント内容にもよりますが、課題や目標に対し、学生たちが協力して、設計から実装まで全てを自分たちの手で行います。
基本的に学生たちが主体的にコンテストへ参加するため、教員の指示通りに作るのではなく、学生たちが自ら考え製作します。また、設計から実装迄を協力して行うことでチームワークや協調性も身に付けることができます。

ロボットコンテスト
ロボットコンテスト(ロボコン)は、全国の高専生が、与えられた競技課題に従いアイデアと技術力を競う大会です。
「自らの頭で考え、自らの手でロボットを作る」ことの面白さを体験し、発想することの大切さ、ものづくりの素晴らしさを共有してもらう全国規模の教育イベントです。

プログラミングコンテスト
プログラミングコンテスト(プロコン)は、全国の高専生が、日頃のプログラミングの経験を活かして情報処理技術における優れたアイデアと実現力を競う大会です。
文部科学省等主催の生涯学習フェスティバルの協力企画として、地域社会や情報産業界と連携し開催しています。

デザインコンペティション
デザインコンペティション(デザコン)は、全国の高専生が、生活環境関連のデザインや設計等を競う大会です。
「人が生きる生活環境を構成するための総合的技術」としてデザインを競うことで、高専が目指す創造力と実践力に富む人材育成に寄与することを目的としています。

英語プレゼンテーションコンテスト
英語プレゼンテーションコンテスト(プレコン)は、「英語が使える高専生」を合言葉に、全国の高専生の英語力向上策の一環として、また、企業・大学等の期待に応える「英語でのプレゼンテーション能力」を備えた高専生の育成を目的として誕生したコンテストです。
高専生らしい、ものづくりや科学技術に関するスピーチやプレゼンテーションが多く、審査員からは「大学工学部のプレゼンテーションコンテストと同等、あるいはそれ以上の質の高さ」と評価されています。

産学連携

地域との関連性
各校では「新産業を牽引する人材育成」、「地域への貢献」、「国際化の加速・推進」の3つの方向性を軸に、場合によっては複数の方向性を組み合わせ、各高専の強み・特色を伸長することを目的とした“KOSEN (高専) 4.0” イニシアティブを掲げています。
各高専の特色を生かし、地域密着したプロジェクトを行うことで地域貢献する活動をしています。

共同教育事業
独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「国立高専機構」)では、リアルな経験を通して学生に実践的なスキルを身につけさせるとともに、学習に対するモチベーションを高めさせることを目的に、鳥羽商船高専を推進拠点校に指定して、学校のカリキュラムだけでは体験できない企業と連携した全国的な共同教育プロジェクトを実施しています。日本マイクロソフト株式会社をはじめ、オムロン株式会社、ヤフー株式会社、日本ナショナルインスツルメンツ株式会社、株式会社NTTドコモなどの企業が参画しています。
高いレベルへ挑戦できるフィールドや、他の高専生と協働して取組むプログラム、最新テクノロジーを学ぶコンテンツ等を体験することで、社会が求める「職業教育」や「キャリア教育」を受ける貴重な機会となっています。

情報セキュリティ人材育成事業
近年増加しているサイバー攻撃などに対応できる「情報セキュリティ人材」を育成することがわが国の喫緊の課題となっています。このニーズに応えるため、国立高専機構では平成27年度から情報セキュリティ人材育成事業に取り組んでいます。
この事業では、15歳からの早期情報セキュリティ教育を提供することにより「飛び抜けた情報セキュリティ人材の育成」および「全ての学生が基本的なセキュリティスキルを身につける」ことを目指しています。